熱帯魚

繁殖の手順|小さな熱帯魚の楽しみ方

熱帯魚のブリーディング方法を解説しています。

繁殖の手順について

熱帯魚の繁殖に必要となる基本的な条件としては、水質と水温が適正であること、エサが十分であること、落ち着いた静かな環境であること、などです。

もちろん種類によっても変ってきますが、養殖が盛んになされている小型熱帯魚であれば、ほとんどの場合、セッティングそのものは「熱帯魚の飼い方」の章にある通りで問題ありません。違うのは、他の熱帯魚を入れず、オスとメスを一匹づつ、つまりペアだけを入れるということです。

ところで繁殖の手順には、親魚に卵や稚魚を食べられてしまわないよう、卵を取り出して育てる人工繁殖と、できるだけ自然にまかせておく自然繁殖があります。いずれにしても水草をできるだけたくさん植えておくことがポイントです。

人工繁殖

熱帯魚の卵や稚魚は親魚によって食べられてしまうことがあります。そこで卵を水槽からプリンカップなどに移し、孵化した稚魚を育てる方法があります。アカヒレのように卵を食べてしまう種類の他、熱帯卵生メダカのように孵化まで何週間もかかるような種類に有効な方法です。

この方法はうまくいくと多くの稚魚を育てることができますので、特にプロブリーダーに好まれる繁殖方法です。その反面、失敗すると稚魚が全滅してしまうことも良くあり、しっかりとした管理が求められる繁殖方法でもあります。

人工繁殖に必要なのは、卵を隔離するための小さな容器です。これにはお菓子作り用品のコーナーで販売されているフタ付きのプリンカップが役立ちます。見つけた卵をこれに入れて、フタをして水槽に浮かせておくだけです。

卵のうちいくつかは死んでしまって白くなることがありますが、これを放置しておくと、カビが他の卵にも伝染してしまうため、もし白くなった卵を見つけたら速やかに取り除きます。

孵化が近づくと卵の中に二つの眼が確認できるようになります。このような状態になれば数日のうちに稚魚が生まれてきますので、観賞魚用の大きなスポイトの先端を切って吸い込み口を大きくし、これで稚魚を吸い取って育成用のプリンカップに移します。

別のプリンカップに移した稚魚は孵化したてのブラインシュリンプ幼生を与えるとみるみる大きく成長していきます。この頃のエサ不足はその後の成長に重大な影響を与えますので、少なくとも朝と夕の二回は十分に与える必要があります。なお、わずかな水の汚れでも一晩のうちに全滅してしまう危険がありますので、エサの残りは完全に取り除きます。

稚魚は共食いをすることが多いので、サイズごとに別々のプリンカップに分けて育てる必要があります。1センチほどに成長したら産卵ケースに入れて育て、3センチくらいになったら混泳水槽に放してあげると良いでしょう。

自然繁殖

趣味で繁殖をおこなうのであれば、できるだけ自然にまかせる繁殖方法がおすすめです。一度に多くの稚魚を育てるのは難しいですが、一度に全ての稚魚を失うリスクは少なくなり、成功率は高くなります。

稚魚は水槽内に自然発生した微生物を食べて成長しますので、1センチくらいに成長した稚魚を見つけたときにでも別の容器に移してブラインシュリンプ幼生を与えて育てるようにすると、手間もかからず楽に殖やすことができます。

特に生まれたばかりの稚魚が小さすぎてブラインシュリンプ幼生を食べられないような、グラミー、ランプアイ、クラウンキリーなどにはこの方法が向いています。また、グッピーやプラティにもおすすめです。

ある日とつぜん、水草の影から顔を覗かせた稚魚との対面は、言葉にならないほどの感動があります。


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